危険が迫っているときには、
「ダメ!」
と、素早く言わなければなりません。火気を用いる器具をふざけて扱ったり、危険な場所に近づきそうなときは「ダメ!」という警告・禁止の言葉を発する必要があります。子どもは危険性の認識などないままに、いろいろなことに興味を示すからです。
一方で、警告や禁止の「ダメ!」ではなく、つい口にしてしまう「ダメ!」があります。お母さんも毎日おだやかな心でいるわけではありません。色々な事を次から次へとこなさないと、毎日のくらしが成り立ちません。ところが子どもはそんなことはおかまいなしです。お母さんをこまらせてばかり。そこで、つい勢い余って「ダメ!」。1、2回は許容範囲です。小さな爆発もときには必要です。ただ、何かあるといつでも「ダメ!」「またやって!」「ダメってわからないの?」では子どもは萎縮してしまいます。「ダメ!」の連続は子どもの心を閉ざします。
否定形で指示を伝えていると、やがて子どもは聞く耳を持たなくなります。相手を否定して、こちらの指示に従わせようとするわけで、子どものプライドは実は傷ついているのです。
たとえば、あなたが親から
「ダメじゃない!こんな高いもの買って来て!」
「そんなことしたら失敗するに決まってるでしょう。はじめからお母さんのいうことを聞いておけばいいのよ!」
こんなふうに言われて「ハイ」と素直に聞けるでしょうか。聞く子のほうが心配です。
せっかくいいものをと思って苦労しながら探し、やっと買い求めたものだったり、相手のことを気遣って行動したりした場合などはとくにそうです。
それなのに、頭ごなしに否定される。当然、子どももカチンときてしまいます。
「ここは入ってはいけない場所なの。とても危険なのよ」
「これがしたかったのね。お母さん気づかなかったわ」
きちんとその理由を述べたり、共感的な言葉を加えてあげましょう。
頭ごなしにいわれる「ダメ!」は、子どもの人間性を無視することにつながります。
子どもの心は小さな傷でいっぱいになります。
オーバーに言っているのではありません。自分の存在を否定されているような萎縮した気持ちになってしますのです。
そして子どもがもっとも欲している自信の芽を摘んでしますのです。
◯ 「ここは入ってはいてない場所なの。とても危険なのよ」
「花火をするときはお母さんといっしょね。これ約束だよ」
✕ 「なんでこんなことわからないの!」
「もうほんとに!バカじゃないの!!」
認定こども園せいれんじ