コミュニケーションで大切なことのひとつに、自分の気持ちを伝えることがあります。やりたいことは、やりたいと自己主張能力です。ただ、自分の気持ちを正直に伝えることで、子どもの場合はとくに、ケンカになることがよくあります。しかし、ケンカをする能力というのは、じつは重要なコミュニケーション力なのです。ちいさなときからケンカをしたこのほうが、将来、コミュニケーション力をしっかりと身につけていくことになるのです。ですから、むやみに「ケンカはダメ!」とおこらないでください。小さな子がふたり以上いれば、必ずといっていいほどおもちゃのとりあいなどからケンカがはじまるでしょう。
しかし、それは、自分はこれであそびたい、という自己主張がきちんとできたからおきること。まずは、やりたいことをきちんと主張できたと認めてあげることが大切です。そのうえで、「どうしたの?」と、両者の言い分を聞きます。やたらとオトナが口出しをすると、自然とケンカをとおして学ぶこともできなくなってしまうということもおぼえておきましょう。
小さなケンカをくり返しているうちに、子どもたちはガマンすることを自然と身につけていきます。自分の欲求を抑制することを学ぶのです。しかし、自己抑制は、すぐには身につきません。成長するにしたがい、すこしずつ学習していくのです。先にブランコを使わせてあげたら、「ありがとう」といわれてうれしかった、年下の子とあそぶことをとおして、ゆずる気持ちを知ったなど、さまざまな経験をへて、ガマンすることが身についていく事でしょう。それには、時間がかかります。成長するにつれ、すこしずつ身についていくことですから。
それよりも、まずは、自分はこうしたい、と主張できる能力を大切にしてあげたいですね。ただし、自分の主張をとおすため、すぐに暴力を使おうとするなど、してはいけないケンカのルールはきちんと教えます。
そのうち、すぐに手を出していたのが、だんだんと口ゲンカになり、さらにケンカという方法では自己主張がとおらないことを知っていきます。つまり、ケンカでは問題の解決につながらないことを知ると、話し合うことの大切さを学んでいくはずです。
また、成長に応じて、ときにはジャンケンやあみだくじなど、あそびをとおした妥協法も教えてあげたいですね。
汐見先生の素敵な子育て「子どものコミュニケーション力の基本は共感です」
認定こども園せいれんじ