小学生中学年から高学年ぐらいの子どもを、「ギャングエイジ」ということがあります。この年ごろは、グループを組んで行動することを楽しむようになり、その後の親密で特定な人間関係へと移行していく過渡期にあたります。
これまでの親のいうことが絶対だった子どもたちも、学校や地域で同年代の子どもたちと出会い、仲間となって、グループであそぶことに楽しさをおぼえるようになるのです。しかも、ちょっとイタズラっぽいあそびや、オトナにみつかったら、「コラッ」としかられそうなあそびを、集団でおこなうことに魅力を感じるのが、かれらのあそびの特徴です。
たとえば、いけないことですが、万引きです。グループのボス的存在の子どもが、「コンビニでガムとってきたら、おまえ、仲間にしてやるよ」と、新入りに命令します。その子が、いわれたとおりに、お金を払わずガムをとってきたら、仲間入り。もしも、店員に「きみ、それお金払ってないでしょ」とみつかってしまった場合でも、仲間の名前を「チクる」のは、タブーです。だれそれにとってこいっていわれたと親や店員に告げた場合は、仲間失格となります。こうしたちょっとキケンなゲームでさえやる出すのが、ギャングエイジの特徴です。
また、この時期、子どもたちは他社排除をしたがるので、グループ内では、たびたびメンバーのだれかがスケープゴートになります。
ボスが、仲間の忠誠心をためそうとして、グループ内の特定メンバーに対し、「あいつ、気に入らないな。グループからはずしちゃおうか」といったとします。それで仲間がどう反応するか観察するのです。メンバーは、「はずしたやつとあそぶなよ」とまで命令されます。それでも、グループに帰属しているという安心感がほしい子どもは、それに従います。
また、独特のオキテなども、つくることがあります。グループのメンバー間でしかつうじないことばやオキテをつくって、結束を強めるのです。
ギャングエイジと呼ばれる時期に、仲間ハズレをしたり、されたり、仲直りをしたりして、子ども同士でのつきあい方を学んでいきます。このような体験をとおして、中学生になることには、2~3人の本当に気の合う友だちと親友関係をきずいていくことになるのです。
この時期、親としては内心ハラハラしても、基本的に見守る姿勢が大切です。なにか悩んでいるようだと思っても、あれこれ問いただすのではなく、子どもがふっと話し出せるような雰囲気をつくってあげるのです。
もちろん、話をきいてみたら、万引きをしていた、というような場合は、学校やほかの親とも相談し、きちんと対処する必要があります。
友だち関係で悩むことも、子どもの成長には必要なこと。悩むことで、自分で解決していく力もついていくのです。
汐見先生の素敵な子育て「子どものコミュニケーション力の基本は共感です」
認定こども園せいれんじ