あるアメリカの心理学者が、子どものときIQ(知能指数=インテリジェント・クオティエンス)が高かったり、勉強のできた人は、はたして社会に出てから成功しているのだろうかと調べてみました。アメリカ東海岸のエリート高校を対象に、とくに成績の良かった生徒が卒業後どのようになっているかという調査を行ったのです。
すると、あまり関係がないという結果が出ました。成績の良かった生徒が社会に出てから成功する確率は、あまり高くないという結果だったのです。つまり、子どものときのIQの高さとか、学校の成績が良いというこは、必ずしも社会的な成功に結び付かないということがわかった。ここでいう社会的に成功している人というのは、仕事で成功をして、それなりの収入があるという意味です。
逆に、40歳くらいの成功している人たちを対象に、子どものころのIQや学校の成績を調べてみたら、バラバラでした。IQの高かった人や成績の良かった人もいたけれど、ふつうの成績の人も少なくない。なかには「えっ、この人が」というのもいる。そうなると、社会的に成功した人というのは、どういう能力が高いのだろう、ということになったわけです。
さらに調べてみると、成功した人というのは、計算が早いとか、論理的的に考えることが得意というようなことではなく、人が落ち込んでいるときに、その人をじょうずに元気づけてあげられるとか、失恋したときなどなにかでづまずいたとき、自分をうまく立てなおすことができるとか、こころのエネルギーをうまくコントロールする能力がすぐれているという調査結果がでました。また、みんながやる気をなくしているときに、やる気にさせていくのがうまいとか、試験になると、集中して勉強できるとか、カーッとくるようなことがあっても、その感情をコントロールして冷静に行動ができるという特性もみられます。
つまり、自分に対しても他人に対しても、エモーションのコントロールがじょうずで、共感する能力のある人が、社会で成功する率が高いというのがわかってきたのです。
このように、相手の気持ちを大切にしたり、自分でも困難にめげないといった、感情あるいは精神力をコントロールする能力をEQ(情動指数=エモーショナル・クオティエンス)といっています。
これに対して、IQというのは、倫理数学的能力とか、記憶能力のことを指します。昔からIQが高いのは頭がよい証拠、オトナになったらきっと成功するというようなことをよくききます。
しかし最近では、先の調査にもあったように、IQよりもEQの高い子のほうが、将来成功するといわれています。EQは、社会のなかで、はぐくまれる能力にすぐれているということを意味するでしょう。つまり、社会のなかで人との関係をじょうずにきずいていけるということです。携帯やパソコンなど自己本位のコミュニケーションがすすんできた現在、社会的に大事な能力は、むしろ、このうような能力だということも頭において、瑚ぞ建てしていってほしいと思います。共感力はその意味でも大事なのです。
認定こども園せいれんじ